えびの市起業支援センターに入室している事業者さんをご紹介します!
今回は、市の職員として『株式会社えびの』へ出向されている高佐伸也さんにお話を伺いました。
ふるさと納税の事業を通じて地域の魅力を発信し、産業の発展に貢献するための取り組みや、地域の企業・生産者との連携、今後の展望についてお聞きしました。
事業内容について教えてください。
ふるさと納税に関する業務を、市役所から受託して代行しています。
具体的には、ふるさと納税の取り扱いや運営を行っています。
また、将来的には、ふるさと納税を通じて得た財源や収入を活用し、他の事業へ投資することも視野に入れながら、事業の構築を進めているところです。
現在この事業に携わる中で、何か課題やチャレンジングな点はありますか?
そうですね、私自身、市の職員として出向して、ここで初めてふるさと納税に関わることになったのですが、まだまだえびの市のポテンシャルを十分に引き出せていないと感じていて、そこが課題ですね。
せっかくの仕組みなので、もっと活かして、しっかり成果を出していきたいと思っています
例えば、えびの市は畜産が盛んで、牛や豚の生産量も多いんです。でも、それらを精肉として加工する施設は市外にあるんですよ。
市外の加工業者さんとあまり連携が取れていないので、そこを改善したらもっと返礼品の種類を増やせるんです。
実際に1年間やってみて、こういうアプローチがまだされていなかったなと感じていて、そこをしっかり進めることで、ふるさと納税のPRもさらに強化できるんじゃないかと思っています。
資源はあるのに、十分に活用できていない、というのが現状ですね。
ふるさと納税では自治体や役所と連携を取ることが重要だと思いますが、その連携を深めるために何か工夫されていることはありますか?
はい、担当課や市長、副市長といった、ふるさと納税に関わる主要なメンバーと定期的に報告会を行っています。
その場で、ふるさと納税の寄付実績を報告しながら、地域商社として課題を抽出し、「こういう課題があるので、これを解決すればもっと成果が出せる」という提案をしています。
私たちとしてできることはしっかり取り組みますが、市の協力があることでさらに成果を高められる部分もあるので、そういった点についても依頼をしています。
具体的には、予算を計上してもらったり、市が先立って事前調整を進めてもらったりといった形で、連携を深めています。
行政との関係で何か印象に残ったエピソードはありますか?
正直、ふるさと納税ってある意味「商売」の側面があると思うんです。
でも、行政側からすると、市場の動向をリアルに感じるのは難しいんですよね。
私たちはえびの市の資源をPRする立場ですが、消費者に選んでもらうためには、他の自治体の返礼品とも競争することになります。
品質には問題がなくても、価格やその他の要素でギャップが生まれることもあります。
そういった課題を解決するために、提供事業者と価格の見直しや改善の提案をする必要があるんです。
ただ、そういう「お金の話」になると、行政側としては「そうなんですね」と受け止めるだけになりがちなんですよね。
市場の動きに合わせて価格調整をすることや、提供事業者との交渉・情報共有といった部分は、通常の行政の仕事ではあまり経験できないことです。
でも、私は市の職員としてここに派遣されているので、こうした実際の市場の動きを体感しながら仕事ができています。
この経験は、いずれ市役所に戻ったときに、すごく役立つんじゃないかなと思っています。
地域の企業や生産者の方々と連携されてる際に、大切にされていることはありますか?
行政も含めて、いかにWin-Winの関係を築けるかが一番大事だと考えています。
結果を出すことは当然ですが、それを持続可能なものにする必要があります。
そのため、目先の話だけではなく、事業者の皆さんがどのような経営をされているのか、その中でふるさと納税がどんな位置づけなのかをしっかりお聞きすることを大切にしています。
また、ふるさと納税の取り扱いをどこまで広げられるか、事業者さんの現状の課題を踏まえながら進めることも重要です。
「今はこの範囲なら無理なく取り組めそうですね」「一度様子を見ながら、次の展開を考えていきましょう」といった形で、継続的に情報共有しながら進めています。
ふるさと納税は単なる商売ではなく、地域の産業振興や雇用促進、さらには事業者さんのモチベーション向上にもつながる事業だと思っていますので、だからこそ、その本質をしっかり大切にしながら取り組むことを心がけています。
事業者さんや生産者さんから喜ばれたエピソードなどがあれば、教えてください。
評価していただいているのは、やはり情報を提供できることですね。
例えば、競合する返礼品の分析・検証を行い、「あなたの返礼品にはこういうギャップがありますよ」「ここをこう改善すれば、もっと伸びる可能性があります」といった具体的なフィードバックをお伝えしています。
地元にこうした機能があることは、今後ますます強みになっていくと思いますし、これをしっかり磨いていくことで、さらに価値を高められると感じています。
また、こうした情報提供を通じて、事業者さんの社内でも議論が深まり、新しいアイデアや改善につながるきっかけになっているようです。
そういう部分を評価していただけているのは、とても嬉しいですね。
今後、自治体や企業とどのように連携を深めていきたいとお考えですか?
冒頭でも少し触れましたが、やはり地域内での循環を生み出したいという思いがあります。
ふるさと納税を通じて、私たちの会社には収入が入りますが、それを財源として地元の事業者さんにフィードバックしていきたいです。
事業者さんの中には、設備投資を検討している方、新商品の開発を考えている方、販路拡大を目指している方など、さまざまなニーズがあります。
そうした期待に応えられるような仕組みを作りたいですね。
えびの市の事業者さんが「こういう取り組みを実現したい」と発信し、それを消費者に伝えて支援を募ることで、新しい挑戦ができる可能性もあります。
新商品開発の面では、市場に流通しにくい商品があるのが現状です。
例えば、お肉の場合、宮崎県内では「宮崎牛」のブランドが強く、消費者の認知度も高いですが、それ以外の交雑牛(黒毛和牛と乳牛の掛け合わせ)を扱う事業者さんもいます。
交雑牛はそのままだと油の質などで違いを感じることがありますが、適切な熟成や加工技術を加えることで、宮崎牛と同じような品質に引き上げることも可能なんです。
そうした加工技術や市場のトレンドに関する情報をしっかり仕入れ、事業者さんに提供することで、地元の資源に付加価値をつけて発信する取り組みを強化していきたいと思っています。
また、市外や県外の事業者とタイアップすることで、新しい販路の開拓にもつなげられるはずです。
さらに、お米など輸出の可能性がある商材についても、海外市場を視野に入れた展開ができればと考えています。
こうした取り組みを通じて、ふるさと納税が単なる寄付の仕組みではなく、地域の産業振興や新たなビジネスチャンスの創出につながるものにしていきたいですね。
株式会社 えびの
ゼネラルマネージャー
高佐 伸也
〒889-4234
宮崎県えびの市大字永山 1182番地1
電話:0984-48-1188
FAX:0984-48-1188